針のはなし2:最初の蓄音器

世界最初の蓄音器

前回の針のはなし1:針先とレコード針の歴史に続いて、今回は世界で初めてのレコードについてお話しします。

かん高くヒステリックな音だったが、まるで工作機械のような蓄音機からは、はっきりとした再生音が聴こえてきた。

瞬時に消えてしまう音をとらえて記録することに成功。

人類初の吹き込みは、発明者エジソンが歌った「メリーさんの羊」でした。

音は、発生してもすぐに消えてしまいます。この音を保存することに初めて成功したのはトーマス・エジソンです。エジソンは電話機の研究を行っている時に音を記録・再生する方法のヒントを得ました。天才的な発明家であるエジソンはこのアイデアを具体化するのに5分とは要さず、図面を工場長のクルエシーに渡しました。クルエシーは何の機械かわからぬままに、30時間後に最初の円筒式蓄音器を完成。所員たちにこの機械は「言葉を吹込んで再生する装置」であることを説明しました。「そんな馬鹿な。」 所員たちは、所長の葉巻を賭けました。この賭はみごとエジソンの勝ちでした。エジソンは振動板に向って歌うというよりはどなるように「ハロー、ハロー、メリーさんの羊」と大声で吹込んだのです。そして再生すると、声こそ甲高いもののちゃんと歌が聴こえてきたのです。それは、1877年の晩秋でした。

円筒式蓄音器の原理と音溝・針先のはなし

エジソンの録音器は、フォノグラフと呼ばれ、細い溝を付けた金属円筒に錫箔を貼り、さらに送話器(ホーン型)のマウスピースに羊皮紙の振動板を貼り、これを付けた針を溝に押付けて音波を上下動に圧刻する方法でした。この装置で録音された溝を再トレースさせると、再生音がマウスピースから逆に出てくるものでした。のちに、錫箔はロウ材に換えられ、その円筒形のレコードは<ロウ管>と呼ばれるようになりました。

さて、話は興味の針先になります……もちろん材質は鉄でした。
複製のできないロウ管を量産するには、気の遠くなるような作業が連日繰り返されました。原盤をもとに型をとって複製することのできないロウ管レコードを量産するには、吹込者が何回も同じことを繰り返すか、一度に何台もの録音器を回すしか方法はありませんでした。つまり、いまでいうダイレクトカットのオリジナル原盤が商品だったのです。1890年代の日産は300~500本といいます。400本のロウ管を作るために、10台の蓄音器を用意しても、同じ曲を40回も演奏しなければなりませんでした。

レコード針のご説明はこちらのページでもしております。

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